魚類繁殖戦略の進化

ライフサイエンス
キーワード

理工学部 / 物質生命理工学科

川口 眞理 准教授

概要

魚の繁殖戦略は、体外受精して水中に卵をうむ卵生魚や体内受精してメス親体内で孵化する卵胎生魚など、多種多様です。現在私が注目しているのがタツノオトシゴに代表されるタツノオトシゴ類です。タツノオトシゴ類は、オスが腹部に育児嚢と呼ばれる袋状の器官を持ち、メスが育児嚢内に卵をうみます。オスは稚魚になるまで育児嚢で保護し、その後「出産」することが知られています。育児嚢という特殊な器官がどのようにして生じたのかその形成メカニズムや進化過程を明らかにすることを目的に研究を行っています。

応用例

新規器官が進化過程でどのように生じたのかを理解するうえで、本研究は絶好の材料を提供するものです。

今後の発展性

本研究は、タツノオトシゴ類の育児嚢という特殊に分化した組織の機能を明らかにするだけでなく、近縁種の同様な器官を調べることで新規な組織の形成が進化過程でどのようにして生じるのかを進化学的に考察することが可能になる基礎研究です。

研究設備

DNAシーケンサー・高速液体クロマトグラフィー・分光光度計

共同研究・外部機関との連携への期待

国内外の同様の研究を推進しているグループとの共同研究

関連特許・論文等

Mari Kawaguchi, Sebastien Lavoue, Junya Hiroi, Hirofumi Hayano, Ichiro Iuchi, Shigeki Yasumasu and Mutsumi Nishida (2012) Remarkable consistency of exon-intron structure of hatching enzyme genes and molecular phylogenetic relationships of teleostean fishes. Environmental Biology of Fishes, 94:567-676.
Mari Kawaguchi, Junya Hiroi, Masaki Miya, Mutsumi Nishida, Ichiro Iuchi and Shigeki Yasumasu (2010) Intron-loss evolution of hatching enzyme genes in Teleostei. BMC Evolutionary Biology, 10: 260.

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