核酸医薬品のStructure-Based Design

薬学
3:すべての人に健康と福祉を
9:産業と技術革新の基盤をつくろう
キーワード
近藤 次郎

理工学部 / 物質生命理工学科

近藤 次郎 教授

概要

核酸医薬品は、低分子医薬品やバイオ医薬品(タンパク質医薬品)に続く第三世代の医薬品として注目を集めています。市販薬の約95%がターゲットとするタンパク質はもちろんのこと、これまでは創薬ターゲットとしてあまり認識されてこなかった核酸(DNA・RNA)にも作用させることができるため、難治性疾患やウイルス感染症の治療薬として期待されています。当研究室では、低分子医薬品の開発に用いられてきたStructure-Based Designの手法を核酸医薬品のデザインに応用して、新薬の開発に取り組んでいます。

 我々は日本国内で唯一の「核酸」に特化したX線構造生物学の研究室です。当研究室で独自に開発した核酸分子結晶化法・構造解析法を駆使して、高精度の立体構造情報をご提供します。そして核酸の立体構造と相互作用に関するノウハウを活かして、リボザイム(核酸酵素)やアプタマー(核酸抗体)などの核酸医薬品のデザインを承ります。

アンチセンス核酸医薬品とターゲットRNAの複合体の立体構造
(Kondo et al., 2015 Chem. Commun.

応用例

  • アンチセンス核酸医薬品の開発
  • アプタマー(核酸抗体)の開発
  • リボザイム(核酸酵素)の開発

今後の発展性

  • 核酸医薬品は第三世代医薬品として注目を集めており、日本国内においても厚生労働省を中心に核酸医薬品開発のガイドライン策定が進められています。
  • これまでに開発されてきた核酸医薬品は、塩基対相補性に基づいて設計されるアンチセンス核酸やmiRNA、SELEX法とよばれる分子進化学的手法によって探索されたアプタマーに限られています。Structure-Based Designの手法をとることで、新しいタイプの核酸医薬品の開発が可能になります。

研究設備

結晶化のための一連の設備、構造解析用コンピューター、温度制御紫外可視分光光度計、蛍光光度計、分子間相互作用解析装置、核酸分子結晶化法(独自に開発)、核酸分子構造決定法(独自に開発)

共同研究・外部機関との連携への期待

  • 立体構造情報に基づいて新しい核酸医薬品をデザインします。
  • 開発済み核酸医薬品の高精度な立体構造情報をご提供します。
  • 核酸医薬品の薬理学的解析についてご協力ください。

関連特許・論文等

【論文】Jiro Kondo et al., “Crystal structure of 2′,4′-BNANC[N-Me]-modified antisense gapmer in complex with the target RNA” Chem. Commun.52, 2354-2357 (2016).
【総説】近藤次郎.「立体構造解析に基づく核酸医薬品の設計技術」月刊バイオインダストリー , 35, 56-64 (2018).
【総説】近藤次郎.「DNAナノメディシンのStructure-Based Design」月刊化学工業 , 67, 28-36 (2016).

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