核酸をターゲットとした低分子医薬品のStructure-Based Design

生物科学 薬学
3:すべての人に健康と福祉を
9:産業と技術革新の基盤をつくろう
キーワード
近藤 次郎

理工学部 / 物質生命理工学科

近藤 次郎 教授

概要

現在市販されている医薬品の約95%はタンパク質をターゲットとしています。しかし近年、創薬のターゲットとなるタンパク質が枯渇しており、新薬の開発件数が頭打ちになってきているのが現状です。そこで当研究室では、これまで創薬ターゲットとしてあまり認識されてこなかった核酸(DNA・RNA)に着目し、これに作用する低分子医薬品の開発に取り組んでいます。

 我々は日本国内で唯一の「核酸」に特化したX線構造生物学の研究室です。当研究室で独自に開発した核酸分子結晶化法・構造解析法を駆使して、高精度の立体構造情報をご提供します。そして核酸の立体構造と相互作用に関するノウハウを活かして、核酸をターゲットとした低分子医薬品のデザインを承ります。これまでに、薬剤耐性菌や感染性原虫のRNAに作用する新規薬剤の開発に成功しています。

RNAに結合する低分子医薬品の立体構造
(Kondo 2012 Angew. Chem. Int. Ed.)

応用例

  • 感染症治療薬の開発
  • 遺伝子疾患治療薬の開発
  • 特定の核酸を検出する診断薬の開発

今後の発展性

創薬のターゲットとなるタンパク質が枯渇している現状から、核酸(DNA・RNA)は今後新しい創薬ターゲットの主流となる可能性を秘めています。

研究設備

結晶化のための一連の設備、構造解析用コンピューター、温度制御紫外可視分光光度計、蛍光光度計、分子間相互作用解析装置、核酸分子結晶化法(独自に開発)、核酸分子構造決定法(独自に開発)

共同研究・外部機関との連携への期待

  • 創薬ターゲットとなる核酸(DNA・RNA)単体、および医薬品候補化合物との複合体の高精度な立体構造情報をご提供します。
  • 医薬品としての効果が期待できる新規化合物のデザインも承ります。
  • 化合物の合成および薬理学的解析についてご協力ください。

関連特許・論文等

【論文】Jiro Kondo. “A structural basis for the antibiotic resistance conferred by an A1408G mutation in 16S rRNA and for the antiprotozoal activity of aminoglycosides.” Angew. Chem. Int. Ed., 51, 465-468.(2012).
【報道記事】「上智大 細菌の抗生物質耐性獲得メカニズム解明 新薬の設計・開発に応用も」化学工業日報(2011年12月12日) 

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