環境浄化を目指した土壌微生物の機能開発

ライフサイエンス 環境保全・浄化
キーワード
齊藤 玉緒

理工学部 / 物質生命理工学科

齊藤 玉緒 教授

概要

土壌微生物である細胞性粘菌は垂直方向にも水平方向にも広く分布・生息しています。
 近年明らかになったゲノム情報によると、細胞性粘菌は他のどの生物よりも多くのポリケタイド合成酵素を持っています。このポリケタイドとは抗生物質や抗腫瘍物質の本体で、有用化合物として古くから注目されていた化合物の一群です。
 土壌という環境は化学物質の戦場と言われるほど、盛んに化学物質による生物間コミュニケーションがとられているところです。もし粘菌の持つ化学物質によるコミュニケーション能力が解明できれば、新たな生物製剤の開発につながるのではないかと考えています。写真はその一例で細胞性粘菌の抽出物に見られる抗菌活性を示しています。
1:コントロール(ろ紙のみ)
2:アンピシリン(ポジティブコントロール)
3:細胞性粘菌抽出物

応用例

細胞性粘菌のある種からとった抽出物は土壌細菌を死滅させる(写真3参照)ことを発見しました。

今後の発展性

土壌環境に生息する有害生物に対する生物製剤の開発。
新規化合物の発見とその生合成機構の解明を目指します。

研究設備

土壌浄化法の開発-細胞性粘菌は土壌微生物では珍しい脱塩素酵素を持っています。
有害土壌生物を制御する生物製剤の開発・抗菌活性だけでなく農薬の開発も視野に入れています。

共同研究・外部機関との連携への期待

  • 土壌浄化法の開発-細胞性粘菌は土壌微生物では珍しい脱塩素酵素を持っています。
  • 有害土壌生物を制御する生物製剤の開発・抗菌活性だけでなく農薬の開発も視野に入れています。

関連特許・論文等

Austin, MB., Saito, T., Bowman, ME., Haydock, S., Kato, A., Moore, BS., Kay, RR. and Noel, JP (2006) “Biosynthesis of Dictyostelium differentiation inducing factor by a hybrid type I fatty acid-type III polyketide synthase” Nat. Chem. Biol. 2:494-502

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