高次不飽和炭化水素化合物とその環状遷移金属錯体

低炭素・エネルギー マテリアル・リサイクル
キーワード

理工学部 / 物質生命理工学科

鈴木 教之 教授

概要

 不飽和結合が高度に集積した[3]ないし[5]クムレン類の合成を行っています。それらを用いて、クムレン類の遷移金属錯体への配位化合物を合成し、得られる有機金属化合物の構造、性質、反応性などを研究しています。
 本来であれば極めて不安定と考えられる五員環のアルキン化合物ですが、遷移金属原子を一つ含む有機金属化合物であれば安定に単離することができます。
 とくに[5]クムレンから出発した化合物2は、二電子還元を経てアルキル化され五員環アレン化合物3を与えるなど興味深い反応性を示します。

応用例

現段階では実用的な応用例は示されておりませんが、高い共役性や歪んだsp炭素の反応性などから導電性分子など電子デバイスなどに応用可能な分子となり得るのではないかと期待されます。

今後の発展性

今後はより安定で高収率な環状アレン錯体の合成法を開発する。また錯体2において配位様式が変換する分子などが見つかっているので刺激応答性の分子変換などに発展できることが期待されます。

研究設備

循環型グローブボックス

共同研究・外部機関との連携への期待

[3],[5]クムレン化合物及びその有機金属化合物の物性を評価していただければと期待致します。

関連特許・論文等

“Transformation of 1-Zirconacyclopent-3-yne, a Five-Membered Cycloalkyne, into 1-Zirconacylopent-3-ene and Formal “1-Zirconacyclopenta-2,3-dienes” N. Suzuki, D. Hashizume, H. Koshino, T. Chihara, Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 5198_5202.
“Reversible Haptotropic Shift in Zirconocene-Hexapentaene Complexes” N. Suzuki, D. Hashizume, H. Yoshida, M. Tezuka, K. Ida, S. Nagashima, T. Chihara, J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 2050-2051.

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