燃焼の化学反応解明と環境低負荷燃焼技術への応用

環境保全・浄化 低炭素・エネルギー
7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
13:気候変動に具体的な対策を
キーワード
高橋 和夫

理工学部 / 物質生命理工学科

高橋 和夫 教授

概要

現在、世界中の全エネルギーの何と80%以上が燃焼現象を利用して生み出されています。しかし、燃焼ではNOxなどの大気汚染物質や温室効果ガスであるCO2が発生するので、いわゆる『高効率・低エミッション燃焼』という環境対策が至上命題となっています。

私たちの研究室では、化学反応というミクロな観点より燃焼現象をとらえ、燃焼の化学反応を制御することによって環境への負荷を最小限に抑えた新しい燃焼技術の開発を目指しています。具体的には、ディーゼル車並みの低燃費とガソリン車並みのクリーンな排ガスを両立させることができる予混合圧縮自着火エンジンの実用化に向け、炭化水素着火の包括的反応モデルの構築に特に力を入れて研究しています。

また,近年はCO2を放出しないクリーン燃料として注目されている水素やその他のガスの爆発反応モデルの構築を行い,これらの爆発を予知・回避する安全工学的研究にも力を注いでいます。

応用例

  • 超希薄燃焼(Super Lean Burn)エンジン実用化のためのノック予測可能な反応モデルの構築
  • 水素およびその他のガス爆発を予測・回避可能な爆発反応モデルの構築
  • 予混合圧縮自着火(HCCI:Homogeneous-Charge Compression Ignition)エンジン実用化のための自着火予測可能な反応モデルの構築
  • 内燃機関燃焼におけるすす(PM:Particulate Matter)の生成メカニズム解明とPM低減技術開発 他

今後の発展性

  • 高効率・低エミッションの環境低負荷燃焼技術への応用
  • 危険物質の爆発防止技術への応用

研究設備

標準衝撃波管,加熱型高圧衝撃波管,高温乱流流通装置(TFR),CSTR(Continuous Stirred Tank Reactor)反応装置,高圧急速圧縮装置(RCM),減圧平面火炎バーナー,光分解用エキシマレーザー,原子共鳴吸収分光装置(ARAS),真空紫外レーザー光イオン化飛行時間型質量分析装置(VUV-TOF-MS),分子ビーム質量分析器(MBMS),ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS),TCD(Thermal Conductivity Detector)及びFID(Flame Ionization Detector)ガスクロマトグラフ装置,高速液体クロマトグラフ装置(HPLC),FT-IR(Fourier Transform infrared Spectrometer),エキシマ等各種レーザ,反応シミュレーション・分子軌道計算ソフト

共同研究・外部機関との連携への期待

自動車及びエネルギー関連企業を対象に、次世代エンジン開発のための基礎研究、燃焼反応機構のデータベース化、各種燃焼シミュレーション等でお役に立てればと考えています。

関連特許・論文等

2015~2017  科学研究費補助金基盤研究(C)『単一パルス衝撃波管によるテトラフルオロエチレン爆発予知のための反応モデル構築』
2014~2018  戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)革新的燃焼技術『高効率ガソリンエンジンのためのスーパーリーンバーン研究開発』
2012~2014  科学研究費補助金基盤研究(C)『水素爆発予知のための包括的反応モデルの構築と高圧化学反応追跡法の確立』
2008~2011  科学研究費補助金基盤研究(C)『高圧衝撃波管を用いたHCCI燃焼反応機構の構築』
K. Takahashi, K. Ohmura, S. Inoue, K. Tanaka, “Shock-tube studies on the reactions of o-, m-, and p-xylenes with O(3P) atoms”, 28th Symp. (Int.) on Shock Waves (2011).

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