究極熱効率・ゼロエミッションを目指した自動車用次世代燃料の研究開発

環境保全・浄化 低炭素・エネルギー
7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
13:気候変動に具体的な対策を
キーワード
高橋 和夫

理工学部 / 物質生命理工学科

高橋 和夫 教授

概要

地球温暖化や化石資源の枯渇等の問題に対応するために,内燃機関の熱効率向上は短期間で実現可能な選択肢として極めて重要な課題である.このような状況のもと,戦略的イノベーション創造プログラム (SIP)では,最大正味熱効率50%のガソリンエンジンの実現を目指している.そのためには超希薄,高圧縮比,高過給,高EGR率,高タンブルの厳しい燃焼条件でもノックを回避する技術が必要であり,ノックを高精度で予測できる自着火反応モデルの構築が不可欠となる.しかしながら,幅広い条件で高い精度が確認されている自着火反応モデルは数種類の単成分炭化水素に限られており,ガソリンのような多成分炭化水素混合燃料に関する包括的反応モデルの構築は未だ十分ではない.

このような背景のもと,我々は衝撃波管装置を用いてガソリンを構成する代表的な成分炭化水素とそれらの混合燃料の着火遅れ時間測定を行ってきた.しかしながら,実際のエンジン燃焼では幅広い圧力,温度領域の自着火データが必要であるにもかかわらず,従来の衝撃波管では加熱持続時間が短いために,長い着火遅れを示す低温度域の計測が困難であった.そこで本研究では,ノック抑制のカギを握る負の温度係数 (NTC) 領域を含む広温度領域の着火遅れ計測を可能にするため,衝撃波管の改良を行った.
 
本研究の最終目的は,実用ガソリンの着火特性を高精度で予測できる包括的反応モデルを構築することである.そのために,まず改良した衝撃波管装置を用いて5成分の炭化水素からなるガソリンサロゲートの着火遅れを計測し,SIPで開発中である国産詳細反応モデルの検証・最適化を行った.その上で,実用ガソリンの着火遅れを計測し,サロゲート詳細反応モデルのガソリン着火への応用の妥当性を評価した.

シェアする