すす生成の反応メカニズム解明と排出低減技術の開発

環境保全・浄化 低炭素・エネルギー
7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
13:気候変動に具体的な対策を
キーワード
高橋 和夫

理工学部 / 物質生命理工学科

高橋 和夫 教授

概要

石炭燃焼やディーゼル燃焼などから多く排出される粒子状物質 (PM) は,多環芳香族炭化水素 (PAH) を前駆体として形成される.芳香族炭化水素燃料では,芳香族炭化水素が開環・C-C切断して生成したアセチレンが,芳香族環に付加・環化を繰り返すことによってPAHを生成する.このPAH生成経路はHydrogen Abstraction – C2H2 Addition (HACA) 機構といわれ,我々が過去に行ったベンゼンの熱分解反応の研究においてもこの経路の存在を確認している.また,芳香族炭化水素に予めアセチレンを混合しておくと,芳香族環の開環温度以下でもPAHが生成することがわかっており,HACA機構の存在を示唆している.このように芳香族炭化水素とアセチレンの混合気体の熱分解研究が数多く行われている一方で,生成したPAH中のCH成分が,芳香族炭化水素とアセチレンのどちらに由来するのかを実験的に明らかにした研究はない.
 
本研究では,すべての水素を重水素に同位体置換したベンゼン (C6D6) とアセチレンの混合燃料の熱分解実験を行い,生成するPAHを飛行時間型質量分析器により同定した.そして,ノーマルベンゼン (C6H6) とアセチレンの混合燃料から生成するPAH分析結果と比較することにより,HACA機構を含むPAH生成メカニズムについて検討を行った.

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