2023.07.18
医薬品探索・開発に直結する実践的合成法の開発および新規医薬品開発を目的とします。有機分子であり低環境負荷な触媒・含窒素複素環式カルベン(NHC)を用いた反応を利用します。
≪研究テーマ例≫
1)抗がん活性天然物 termicalcicolanone A, Bの全合成研究:基本骨格であるキサントン環構築の出発化合物であるベンゾフェノン誘導体の合成をNHC触媒反応により効率化します。
2)多剤耐性黄色ブドウ球菌(MDRSA)に対する殺菌作用のある citreamicin δ, ε,ηの全合成研究:様々な有機分子触媒を利用して全合成を行い、新しい概念による全合成経路を提示します。
3)医薬品に頻出する複素環骨格の合成法開拓:多段階反応を連続して一つのフラスコで行うワンポット法による効率的な合成法を確立しています。
4)抗がん活性化合物の構造最適化を目指した誘導体合成:NHC触媒反応を用い合成されたキナゾリン誘導体が市販の抗がん剤・タキソールに匹敵する高いがん細胞増殖阻害活性を持つことを見出しました。
核磁気共鳴分光計(NMR)、質量分析計(MS)、元素分析、高効率液体クロマトグラフィー(HPLC)、リサイクル分取クロマトグラフィー
癌や感染症を治療する新しい薬の研究
「キナゾリン化合物を有効成分とする医薬組成物」 Jpn. Kokai Tokkyo Koho, JP 2011178753 A 20110915 (2011)
Y. Suzuki, Y. Fukuta, S. Ota, M. Kamiya, M. Sato, “Xanthone natural products via N-heterocyclic carbene catalysis: Total synthesis of atroviridin” J. Org. Chem., 76, 3960-3967 (2011).