2023.07.18
我々の研究室は、現実の化学現象を実験室あるいは屋外において観察するだけでは解明できないミクロな現象を、その構成物質である原子・分子の状態あるいはその集団運動を調べることにより解明する研究を行っています。
では、どのようにして手に取ることもできない小さな分子を取り扱うのだろうか?となります。それは、現代の科学であるコンピュータを用いた仮想実験により扱うことができます。つまり、量子化学・統計熱力学に基づく理論により物理定数を与えるだけで(第一原理計算・PME-ONIOM・MDシミュレーション)その答えは実験値を再現あるいは予想します。
主なテーマは、大気化学・物質化学・生化学など様々な分野になります。
我々が設計した蛍光タグ分子がBaumesらにより適用可能が指摘され、ネズミによる実験研究が報告されています[Nature Chemistry 2, 1025-1030(2010)]。
よりリアルな系を正確にシミュレーションし、予測します。
ハードウェア:大規模計算機システム(200 CPUコア・3.0TByteメモリ・100TByte RAIDディスクシステム・各ノードをソリッドステートディスクシステムにてRAID構成)
ソフトウェア:Molpro2019.1・Gaussian16・Amber16および自作プログラム(半古典トラジェクトリホップ法、Herman-Kluk凍結ガウス波束発展法、実空間波束発展法、QM/MM法に基づく半古典分子動力学法)
光化学研究を得意とすることから、光が起因する分子設計を主に行っていますが,材料に性能予測も最近成功しました。企業・外資の皆様、お気軽にご相談ください。コンサルタントを含め,幾つかの会社との連携は,既に行っております。
1. Manabu Nakazono and Shinkoh Nanbu, “Enhancement effect on the chemiluminescence of acridinium esters under neutral conditions,” Luminescence, 33, 345-348 (2018). (DOI: 10.1002/ bio.3419).
2. M. Nakazono, Y. Oshikawa, M. Nakamura, H. Kubota, S. Nanbu, “Strong Chemiluminescent Acridinium Esters under Neutral Conditions: Synthesis, Properties, Determination, and Theoretical Study,” J. Org. Chem. 82, 2450-2461 (2017).
3. Alexey Kondorskiy and Shinkoh Nanbu, (2017) The Nonadiabatic Trajectory. In: Reedijk, J. (Ed.) Elsevier Reference Module in Chemistry, Molecular Sciences and Chemical Engineering. Waltham, MA: Elsevier. 20-May-2017 doi:10.1016/B978-0-12-409547-2.11615-4.
4. T. Ishida, S. Nanbu, H. Nakamura, “Clarification of Nonadiabatic Chemical Dynamics by the Zhu-Nakamura Theory of Nonadiabatic Transition: From Triatomic Systems to Reactions in Solutions,” International Reviews in Physical Chemistry, 36, 229-286 (2017).
5. 南部伸孝 「最近の研究から 溶液内光異性化反応における化学動力学」日本物理学会誌 第72巻 第2号 85-90 2018年.