大脳皮質ニューロンの樹状突起伸長・退縮の評価システム

ライフサイエンス 医療・医用
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林 謙介

理工学部 / 物質生命理工学科

林 謙介 教授

概要

 脳の発生と老化のしくみを明らかにすることを目的としています。マウスやラットの大脳皮質ニューロンを材料に、樹状突起の形成、伸長、維持に働く分子の評価をおこないます。


(1)イン ビトロの系
A)大脳皮質ニューロンを初代培養します。形態的なアッセイには低密度培養を、生化学的なアッセイには高密度培養をします。遺伝子導入はエレクトロポレーション、リポフェクションによって行います。突起伸長の評価は、免疫染色、タイムラプス撮影、ウェスタンブロッティング、RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)によって行います。
B)出生直後の動物から、樹状突起付きのニューロンを単離して低密度培養します。樹状突起の同定は、樹状突起特異的タンパク質の局在と、電子顕微鏡による微小管極性の観察によって行います。
(2)イン ビボの系
 マウス胎児の脳室にDNA(Deoxyribo Nucleic Acid)を注入し、エレクトロポレーションすることによってイン ビボにおいてニューロンに遺伝子導入します。遺伝子導入されたニューロンの樹状突起形成を、形態的に評価します。

応用例

  • ニューロンおよび樹状突起の健康に関わる遺伝子、化合物、生理活性物質の検索に役に立ちます。
  • 我々は微小管形成に関係する分子に着目し、その改変遺伝子をニューロンに導入して樹状突起形成への影響を解析しています。

今後の発展性

  • 軸索伸長と樹状突起伸長を区別して評価するシステムの開発を目指しています。
  • 評価系のHTS(High Through Put)化を目指します。

研究設備

細胞培養設備、エレクトロポレーター、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、電子顕微鏡

共同研究・外部機関との連携への期待

新規突起形成関連分子や薬物の候補をお持ちの場合、その機能や薬理効果について形態的な探索やアドバイスができます。

関連特許・論文等

Hayashi K, Kawai-Hirai R, Harada A, Takata K. (2003) Inhibitory neurons from fetal rat cerebral cortex exert delayed axon formation and active migration in vitro. J. Cell Science 116:4419-4428.
Takahashi D, Yu Wenqian, Baas P W, Kawai-Hirai R, Hayashi K. (2007) Rearrangement of microtubule polarity orientation during conversion of dendrites to axons in cultured pyramidal neurons. Cell Motil. Cytoskel. 64:347-359.

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