2023.07.18
理工学部 / 物質生命理工学科
藤田 正博 教授
我々は新奇固体電解質として柔粘性結晶(プラスチッククリスタル)に着目しています。柔粘性結晶は規則的に整列した結晶格子から構成されつつ,分子レベルでは配向的,回転的な無秩序さが存在する物質として定義されます。その無秩序さの結果として有意な運動が可能となり,高い可塑性と構成成分の高い拡散性を示すことが特徴です。我々が開発した柔粘性結晶は自立性を有しながら室温で自由に形状を変えられる柔軟性をもち(写真),そのイオン伝導度の値は室温において10-4 S cm-1を超えます。有機電解液(10-2 S cm-1)には劣りますが,これまでに報告されている柔粘性結晶材料の中では極めて高い値であり,電池の充放電評価を行うことが可能となってきました。この材料のポテンシャルは高く,さらにリチウムイオン伝導性を高めることで全固体型リチウムイオン電池の開発を促進できると期待しています。
リチウムイオン二次電池
リチウムイオン二次電池に限らず、電気二重層キャパシタや各種蓄電池用固体電解質として応用が期待できます。
紫外・可視分光装置、GPC:Gel Permeation Chromatography、ラマン分光装置、DSC:Differential Scanning Calorimetry、TG-DTA:Differential Thermal Analysis-Thermo Gravimetric、インピーダンスアナライザー、ポテンショ・ガルバノスタット、AFM:Atomic Force Microscope、電池充放電装置
S. Yamaguchi, H. Yamada, Y. Takeoka, M. Rikukawa, M. Yoshizawa-Fujita*, “Synthesis of pyrrolidinium-based plastic crystals exhibiting high ionic conductivity at ambient temperature”, New J. Chem., 43, 4008-4012 (2019). (Selected as Cover Picture)