2023.07.20
極短パルス光源(右写真)を製作し、これを使って、物質の超高速非線型分光を行っています。
さまざまな振動数の光の「うなり」を利用すると100フェムト秒(10兆分の1秒!)よりも短い光のパルスを容易に得ることができます。
このような極短光パルスを使うと、従来の電気的な測定では不可能な、非常に短時間での変化を観測できるようになります。我々はこれを利用して、物質中でいまだ明らかになっていない様々な現象を解明しようとしています。
①上記のような短いパルスを固体に当てると、固体内の原子が一斉に振動を始めます。原子の運動を直接観測できるため、従来のラマン散乱測定では分からなかった格子振動の緩和過程を解明できます。
②光パルスを複数使い、光を吸収した直後の固体内の電子のエネルギー変化を観測できます(上図)。これを利用して、例えば、光触媒中でのキャリアが、触媒表面で吸着分子と反応するまでの過程を追跡します。
「応用例」①については、パルス整形技術と組み合わせることで、原子の集団振動を止めたり、巨大化させることも可能になります。これを使うと、光によって物質の状態を制御することが期待できます。
②については、固体に限らず、分子中の電子のエネルギー変化を追うこともできます。そのため、化学反応過程を時間ごとに解明することが可能になります。
波長可変フェムト秒光源
より広帯域の波長可変性をもつ極短パルス光源の開発
N. Harada, M. Goto, K. Iijima, H. Sakama, N. Ichikawa, H. Kunugita, and K. Ema;
“Time-resolved Luminescence of TiO2 Powders with Different Crystal Structures,”
Jpn. J. Appl. Phys. 46, 4170-4171 (2007).
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