量子力学的多体問題

基礎・理論
キーワード
高柳 和雄

理工学部 / 機能創造理工学科

高柳 和雄 教授

概要

1.多体問題で考えるHilbert空間を小さく繰り込んでいくと、系を記述するHamiltonian は自由空間でのものから有効Hamiltonianへと変化していきます。そこで出てくる有効相互作用の概念および計算法の確立と、その性質の理論的解明を目指しています。
2.散乱及び逆散乱理論の統一的理解による、ポテンシャル変換理論の構築を目指しています。

応用例

1.有効相互作用や有効Hamiltonianの概念は、少数多体系である原子核や原子分子からマクロな系である金属や半導体の静的及び動的性質理論的理解に応用できます。
2.ポテンシャル変換の一般論により、数値的に取り扱いにくいポテンシャルを、物理的効果を保存したまま、取り扱いやすいポテンシャルへ変換することが可能になります。

今後の発展性

1.非常に汎用性の高い有効Hamiltonianの概念と、密度汎関数理論との統一的理解を目指しています。また、この問題に繰り込み群方程式がどのように関係してくるかを調べるのは、数理物理の立場からは非常に面白い問題だと考えます。
2.ポテンシャル変換理論は、実験データからのポテンシャルの構成などに直接的に役に立つ理論であり、今後、応用面も含めてさらなる発展が見込めます。

共同研究・外部機関との連携への期待

有効Hamiltonianの新しい計算法の開発とその応用

関連特許・論文等

N.Tsunoda, T.Otsuka, K.Takayanagi, N.Shimizu, T.Suzuki, Y.Utsuno, S.Yoshida, and H. Ueno, “The impact of nuclear shape on the emergence of neutron dripline” Nature 587(2020)66(1-14).
Kazuo Takayanagi, “Linked-diagram theorem in many-body perturbation theory” Ann. Phys.415(2020)168119(1-43),
N.Tsunoda, T.Otsuka, N.Shimizu, M.Hjorth-Jensen, K.Takayanagi, and T.Suzuki, ” Exotic neutron-rich medium-mass nuclei with realistic nuclear forces”
Physical Review C95, 021304(R) (2017)(1-6),
Kazuo Takayanagi, “Unified theory of effective interaction” Ann. Phys.372(2016)12-256,
Kazuo Takayanagi, “Effective interaction in unified perturbation theory” Ann. Phys.364(2016)200-247,
K.Takayanagi and M.Oishi, ”Inverse scattering problem and
generalized optical theorem”, Journal of Mathematical Physics 56(2015)022101,
N.Tsunoda, K.Takayanagi, M.Hjorth-Jensen, and T.Otsuka,
“Multi-shell effective interactions”, Phys.Rev.C89(2014)024313,
Kazuo Takayanagi, “Effective interaction in the Rayleigh-Schroiedinger perturbation theory” Ann. Phys.350(2014)501-532,
Kazuo Takayanagi, “Study on effective Hamiltonian and decoupling equation ‘” Nuclear Physics A899(2013)107-115
Kazuo Takayanagi, “Effective interaction in non-degenerate model space ‘” Nuclear Physics A853(2011)61-81
Kazuo Takayanagi, “Effective Hamiltonian in the extended Krenciglowa-Kuo method‘” Nuclear Physics A864(2011)91-112
Kazuo Takayanagi, “Completeness relation in the R-matrix theory of scattering‘” Physical Review A77(2008)062712(6pages)

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