ケーブルダイナミクスを応用した搬送・探査システムの運動と制御に関する研究

装置・デバイス 環境保全・浄化
キーワード
曄道 佳明

理工学部 / 機能創造理工学科

曄道 佳明 教授

概要

 本研究室では、クレーン、搬送装置、探査システムに代表される、ケーブルと先端機から成るシステムの動解析と制御に関する研究を行っています。クレーンのように、比較的剛性の高いブームと柔軟なケーブルが、長さ変化を伴って運動するとき、この挙動を精度良く計算することは大きな動力学上の課題です。さらに、この先端機の位置や姿勢を制御するためには、ケーブルが柔軟であるがゆえに、適切な制御則の適用と、運用上の工夫が必要となるでしょう。
 また、このようなシステムについて、特殊空間、たとえば宇宙や海洋で機能を発揮させるとき、張力が十分でないために、大変位、大回転、大変形を伴います。このような、幾何学的非線形性が強く、固有値が時変となる系についての統一的な解法を提案していきます。
 特に海洋探査、宇宙探査などの特殊環境も含めて上記課題を包含するシステムの動解析と制御について、役割を担えるものと考えます。

応用例

本研究課題では、クレーンや探査システムなどのケーブルとその先端の位置制御に応用できます。特に、先端機を搭載するシステムにおいて、位置および姿勢の制御について、動システム解析と併せて実現を目指します。

今後の発展性

運動解析と制御を統一的に扱った解析手法を提案することで、クレーン、搬送システム、探査システムの安全性、安定性、機動性を高めるシステムの動設計が可能となることを目指します。

研究設備

柔軟マルチボディダイナミクス実験装置;
高い剛性を持つブームとケーブルから成るシステムに対する実験装置を有しています。ブームおよびケーブルは長さ可変で、固有値が時変である系、柔剛混在のマルチボディシステムの動解析および制御に貢献できる実験装置です。また、同様に長さ変化を伴うケーブルダイナミクスを対象とした実験装置も備えています。この装置では下部に水槽を備えており、流体とケーブルの運動の連成系に対しても実験が可能です。

共同研究・外部機関との連携への期待

「ケーブルダイナミクスを応用した搬送または探査システムの開発」に貢献できます。地震時のクレーンの挙動解析や、進展回収速度を上げた搬送システムの開発、海洋・宇宙システムの開発などに資すると考えます。
超小型探査システムの提案は、資源探査を小規模投資で行うことができる新しいシステムとして十分なニーズがあると考えます。

関連特許・論文等

“Numerical and Experimental Approaches on the Motion of a Tethered System”
S. TAKEHARA, Y. TERUMICHI, M. NOHMI and K. SOGABE
Journal of System Design and Dynamics, Vol. 2, No. 5(2008), 1106-1117.

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