ナノテクを駆使した高機能かつ低環境負荷なデバイス

装置・デバイス ナノテクノロジー
キーワード
中岡 俊裕

理工学部 / 機能創造理工学科

中岡 俊裕 教授

概要

 半導体量子ナノ構造、特に、単電子、スピン、光子を制御する技術を基盤に、物理現象の探索、量子情報転送などこれまでにない機能を実現するデバイスの開発を目指しています。また、抵抗変化メモリや相変化材料といった構造変化材料との融合も進めています。

応用例

  • 単電子、単一光子素子:電子や光子を一つずつ扱う素子の研究を進めています。サイドゲートにより、電子状態制御した上で、1つの光子を発生させることのできる素子を開発しています。
  • 新機能素子:メモリ材料のメモリ機能とナノ構造との融合素子の開発を進めています。例えば、抵抗変化メモリ(ReRAM:Resistance Random Access Memory)材料における微小かつスイッチング可能な伝導パスに注目して、これを量子ドットへの微小配線とする融合素子を試作しました。

今後の発展性

  • ゲート制御型の単電子、単一光子素子は将来、光子1つを使って行う絶対安全な通信や、遠く離れた2つ素子間での量子状態の転送といったことに利用できます。また分散型量子コンピュータのインターフェイスにとっても重要です。
  • ナノ構造と抵抗変化メモリとの融合技術により、情報化社会を支えるため直面している微細化限界の突破に貢献できます。微細化の限界突破のキーテクノロジーとして、単一分子や量子ドットといったボトムアップ型のナノ構造が期待されています。そのボトルネックである極めて微小な領域へ電気的コンタクト(微小電気配線)を本技術により容易にすることができるためです。また、GST(Ge-Sb-Te:Germanium-Antimony-Tellurium)といったDVD-RAMなどにつかわれる相変化材料とボトムアップ型ナノ構造との融合も進めています。

研究設備

微小電流測定システム、共焦点顕微鏡システム、温度可変マニュアルプローバー、相変化材料蒸着器、電子ビーム蒸着-RFマグネトロンスパッタ融合装置

共同研究・外部機関との連携への期待

単電子、単一光子レベルの測定が可能です。またナノスケールの半導体微細加工や構造変化材料の蒸着も可能です。本技術を駆使して、特性の不明な新規材料等の物性解明などに貢献できればと考えております。

関連特許・論文等

1. T. Nakaoka, Y. Tamura, T. Saito, T. Miyazawa, K. Watanabe, Y. Ota, S. Iwamoto, and Y. Arakawa, “Competing influence of an in-plane electric field on the Stark shifts in a semiconductor quantum dot”, Applied Physics Letters. 99, 181109/1-3 (2011).
2. T. Nakaoka, H. Satoh, S. Honjo, and H. Takeuchi, “First-sharp diffraction peaks in amorphous GeTe and Ge2Sb2Te5 ・〕ms prepared by vacuum-thermal deposition”, AIP Advances. 2, 042189 (2012).
3. T. Nakaoka, K. Watanabe, N. Kumagai, and Y. Arakawa, “A single-electron probe for buried optically active quantum dot”, AIP Advances 2, 032103 (2012).

シェアする