超伝導電力機器応用

装置・デバイス 低炭素・エネルギー
キーワード
中村 一也

理工学部 / 機能創造理工学科

中村 一也 教授

概要

 ‘超伝導技術の電力機器応用’の研究をしています。研究内容は超伝導の特徴を生かした新機能をもった装置の研究開発、あるいはエネルギー有効利用や環境保全の観点からの要求仕様を満たす装置の研究開発を、機能創造理工学科の高尾智明教授と連携を取りながら進めています。以下にその代表例を示します。


≪核融合炉用超伝導コイルの研究≫
 核融合炉内の超伝導コイルには隣接するコイルの影響から様々な磁界が印加されます。この磁界が時間変化すると超伝導コイルに損失(交流損失)が発生します。交流損失が発生すると超伝導導体の温度が上昇し、臨界温度に対する温度マージンが減るため、導体の安定性を疎外する主要な原因の一つです。そのため、このような不安定要因を定量的に見積もり、必要に応じて対策を講じることを目的としています。


≪高エネルギー加速器用超伝導コイルの研究≫
 従来の加速器用超伝導コイルではNbTi超伝導線材が用いられています。加速器のさらなる高磁界化、エネルギーアップグレードではA15系超伝導体を用いた超伝導コイルの開発が期待されています。本研究では加速器用超伝導コイルの導体を念頭にNb3Al超伝導線材の線材及びケーブルの開発を行っています。


≪超伝導コイルの機械特性に関する研究≫
 超伝導コイルではコイル巻線部に機械的な振動が発生することによる摩擦発熱が損失につながっています。これらの振動を定量的に評価し、抑制することにより超伝導コイルの安定運転を行うことができます。本研究では様々な巻枠材料、及び含浸材を用いて、それらの損失の低減を提案しています。


≪極低温下での物質の熱特性調査≫
 超伝導機器では極低温下まで冷却して作動させます。機器材料の極低温下での熱特性を調査することは機器性能を把握するために非常に重要です。本研究では、超伝導機器に用いられる様々な物質の熱特性を測定する装置を開発し、測定を行っています。

応用例

臨界プラズマ試験装置:JT60-SA(Super Advanced)の超伝導コイルの安定性のためのデータ収集及び解析

今後の発展性

超伝導技術の電力機器応用を目指しています。

研究設備

臨界電流測定装置、交流損失測定装置、引張り試験機、圧縮試験機、熱伝導率測定、電磁解析ソフトウェア

共同研究・外部機関との連携への期待

超伝導技術の新たな電力機器応用開発、極低温機器技術開発

関連特許・論文等

(1) K. Nakamura, R. Oka, T. Takagi and K. Nishimura, Influence of Mechanical Vibration and Losses Under AC Operating in Bi-2223 Tapes With Ionic Liquid Impregnation, IEEE Trans. on Applied Superconductivity. Vol. 22, Page(s) 9001204 (2012).

(2) T. Takao, K. Nakamura, T. Takagi, H. Murakami and K. Yoshida, Influence of External Magnetic Field on AC Losses at EF Coil Joints of JT-60SA, IEEE Trans. on Applied Superconductivity. Vol. 22, Page(s) 4704604 (2012).

他査読英文論文17件、国内発表論文26件

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