相対論的素粒子物質のダイナミクス

基礎・理論
キーワード
平野 哲文

理工学部 / 機能創造理工学科

平野 哲文 教授

概要

 宇宙の始まりビッグバン直後に存在していたとされる超高温物質「クォーク・グルーオン・プラズマ」を地球上で作るべく、高エネルギー重イオン衝突実験が行われています。この物質の温度は数兆度にも達し、すべての物質の基本構成要素である素粒子クォークとそれらの力を媒介するグルーオンから構成されます。実際に作られた物質の時空発展は相対論的流体方程式によって記述することができます。実験で得られる生成粒子のスペクトルと流体力学によって記述される結果を比較することによって、クォーク・グルーオン・プラズマの物理的性質を引出し、初期宇宙を満たしていた物質に対する知見を得ることを目標としています。

今後の発展性

クォーク・グルーオン・プラズマの新奇な時空発展、特に、媒質中を通過するジェットとの相互作用や流体揺らぎの効果を取り入れることによって、より実際の現象に則した記述を目指しています。

研究設備

ワークステーションを用いた相対論的流体力学の数値計算を行い、クォーク・グルーオン・プラズマの時空発展を記述している。

共同研究・外部機関との連携への期待

相対論的流体方程式や相対論的運動学的方程式の高精度高速数値解法
サイエンスカフェ等で最先端の研究内容を平易に紹介

関連特許・論文等

「宇宙の物質はどのようにできたのか 素粒子から生命へ」日本物理学会編、日本評論社、第4章「クォークの熱いスープから原子核へ 4兆度の初期宇宙の再現」平野哲文、他

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