省エネ・電力負荷平準化のための交通・物流・搬送システムのエネルギーマネジメント

情報・通信 低炭素・エネルギー
キーワード
宮武 昌史

理工学部 / 機能創造理工学科

宮武 昌史 教授

概要

 電気鉄道、LRT(Light Rail Transit)等の公共交通システム、道路交通、および物流・搬送システムにおけるエネルギーマネジメントを多方面から検討します。加減速制御や運行計画の最適化による運転方法の見直し、電力貯蔵装置等の環境調和型デバイスの利用などを行い、省エネと負荷平準化を図ります。
 具体的には、左下図のように加減速を調整して省エネを図るエコドライブ法を最適制御問題として数値的に解く、また、右下図のように駅間毎の所要時間を「等増分消費エネルギー則」に基づき最適に調整する、などを行います。さらに、環境調和型デバイスを活用した回生電力の有効利用、また自然エネルギーによる温室効果ガス削減を目指します。

最適制御問題の数値解法によるエコドライブ時の速度の軌跡
等増分消費エネルギー則を利用した区間毎の運転時間の調整による省エネ

応用例

電気鉄道での検討により、個別対応で数%ずつ、総合的に10~30%の省エネ実現可能性があります。関連分野として、LRTや新交通システムなど、軌道系交通全般に加え、ITS(Intelligent Transport Systems)を利用した道路交通などにも利用可能です。さらに、物流システムや、工場や倉庫内などでの搬送システムにも利用できると考えられます。
エネルギーの無駄使いは意外な所に潜んでいます。交通や物流に限らず、省エネの手法は色々な所に応用可能と思われます。

今後の発展性

地球環境問題だけでなく、震災以降の電力供給問題に直面し、注目度が高くなっています。今後は、電力量だけでなく、負荷平準化の観点からもさらに検討を進め、交通・物流の「スマート」化を目指します。

研究設備

計算機サーバ・ワークステーション群とMATLAB等の解析用ソフトウェア。
電圧・電流・電力等、エネルギーフロー分析用測定器。

共同研究・外部機関との連携への期待

東日本大震災・原発事故以降の我が国の電力供給問題、さらには地球環境問題への対処が期待できます。
特に、節電は喫緊の課題です。一緒に知恵を絞って考えていければ幸いです。

関連特許・論文等

M. Miyatake and H. Ko: “Optimization of Train Speed Profile for Minimum Energy Consumption” IEEJ Transactions on Electrical and Electronics Engineering, Vol.5, No.3, pp.263-269, 2010.

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