波動のコヒーレンスセンシングによる生体組織の機能と物性の可視化

情報・通信 ライフサイエンス 医療・医用 装置・デバイス
キーワード
炭 親良

理工学部 / 情報理工学科

炭 親良 准教授

概要

 神経回路や癌病変、血行動態に関わる疾患などを対象とし、超音波を含む力学的振動、様々な電磁波、熱波などの波動のコヒーレンスを使用して、それらの可視化や計測を行っています。ヒト癌病変に関しては、radiotherapy、chemotherapy、thermal therapyなどの各種治療の効果を視ることも行っており、生き物の機能や組織の特性の治療や再生、また、新機能の生成に向け、波動のコヒーレンスを応用しています。
 基本、計測対象を自然のままに、計測や加工のできる技術開発を、エレクトロニクスや信号処理、画像処理、数理を基礎として、取り組んでいます。対象に影響を与えることなく、センサーを対象に向けるだけで計測できる技術開発をしています。非常に速い現象や長時間の観測を実時間で実現するものであり、精度も非常に高く、医療の分野で培ったそれらの技術は、医療以外の分野(材料工学、環境計測、レーダーやソナーなどのリモートセンシング)にも応用できます。
物理現象の面で見た計測およびイメージングの対象:
1. 電磁気学、例えば、磁場ベクトルの計測から、電流密度ベクトル分布や電気物性分布をイメージング。
2. メカニクス、例えば、歪テンソルやずり波や回転波の伝搬、流体などの動態観測イメージングに基づき、粘弾性率やその非等方性、加えて、その非線形性をイメージング(図参照)。
3. 熱学、例えば、温度分布や熱波の観測イメージングに基づき、熱物性分布をイメージング。

Illustration on mechanical case

応用例

非侵襲的・非観血的

  • 神経回路網の活動および学習・認識の観測と制御(SQUID、核磁気共鳴(MR)計測イメージングなど)
  • 再生組織や培養組織(神経細胞、心筋細胞、その他の細胞や組織、癌組織など)の観測と制御
  • 癌病変や血栓、心筋梗塞などの疾患の診断(超音波画像診断など)と治療(強力超音波による加熱治療など)
  • ヒト組織の健康管理装置(肝臓等や乳がん、血液)

電磁気学、メカニクス、熱学に基づくremote sensingや、構造物や材料開発における非破壊検査

今後の発展性

今後も長寿のための臨床への貢献を目指します。材料特性や機能のin situ計測による特性向上。環境保全。省エネ化。

研究設備

超音波画像診断装置、遠赤外線イメージング装置、生体電気計測装置、SQUID装置、電磁シールドルーム、等。

共同研究・外部機関との連携への期待

医療機関・研究所、医療機器や非破壊検査装置、環境計測装置のメーカを歓迎します。
1. 設備に限りがあり、開発したソフト(アルゴリズム)の応用を目的とした共同研究。
2. 新しい装置の開発及び製品化。
3. 臨床応用に向けた機器の製造やその応用。

関連特許・論文等

1 C. Sumi, US patent, 7,775,980, Aug 17, 2010.
2 C. Sumi, “Usefulness of ultrasonic strain measurement-based shear modulus reconstruction for diagnosis and thermal treatment,” IEEE Trans. UFFC, vol. 52(10), pp. 1670-1689, 2005.
3 C. Sumi et al., “Effective lateral modulations with applications to shear modulus reconstruction using displacement vector measurement,” IEEE Trans. UFFC, vol. 55(12), pp. 2607-2625, 2008.
4 C. Sumi et al., “Consideration of generated beam angles increases the accuracy of ultrasonic displacement measurements,” Rep Med Imag, vol. 5, pp. 23-50, 2012.

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