2023.07.21
理工学部 / 情報理工学科
TRIHAN FABIEN BENOIT 准教授
すべての整数は素数の積に分解することができます。したがって、物理粒子の解明が宇宙の解明につながるように、数学の世界において素数を解明することは、すべての数を解明することを意味すると言えるでしょう。
19世紀の終わりに、Riemannは素数の分布に関する不思議な現象について、解析学を用いた新たなアプローチを発見しました。このアプローチは、今なお未解決なリーマン予想と関係しています。
「楕円曲線」の研究は素数とも関係しており、Riemannの発見以来、楕円曲線に対するリーマン予想の類似が研究されています。楕円曲線は、次のような形で表される2変数の等式で、この方程式の解の集合がとてもよい構造を持つことが知られています。
y2= (変数xの3乗に関係する式)
英国の数学者BirchとSwinnerton-Dyerによって、楕円曲線から算術的、代数的に定義される対象と解析的に定義される対象の間に密接な関係があるだろうということが予想されました。
研究者はこれまでに、加藤和也教授との共同研究において、関数体におけるBirch,Swinnerton-Dyer予想の研究を行っており、現在は、基礎体を変えた時の予想の挙動について研究を行っています。
本研究は1950年代に岩澤健吉氏によって代数体の場合に初めて導入されたものであり、岩澤理論は近年急激に発展している理論の1つです。私の研究目的は、岩澤理論の幾何的類似を構築することです。
暗号理論、数学のオープンソース・ソフトウェアの開発(パリ)、バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想、幾何学的ラングランズプログラム
将来的には、幾何的岩澤理論をp進微分方程式へ適用したいと考えています。
数論、解析、幾何学、微分方程式の様な、いくつかのアプローチをつなげることを試みています。私の研究に興味のある方の参画を期待しています。