廃棄物リサイクルと欧州資源政策

法律・政策
キーワード
織 朱實

地球環境学研究科 / 地球環境学専攻

織 朱實 教授

概要

従来、「廃棄物」はいわゆる「廃棄物」の世界の中で完結しており、その閉じられた世界の中で問題の解決が探求されていた。しかし、地球規模での資源問題に直面している現在では、廃棄物を資源としていかに効率的に利用していくかが大きな課題となっている。さらに、地球環境問題解決に向けての新たなアプローチであるSDGsにおいても、廃棄物は重要なテーマである。このように、現在の地球規模の環境問題を考える際には、従来の閉じられた世界の中で廃棄物問題をとらえるだけでなく、資源、エネルギー、環境ガバナンス、と様々な角度から廃棄物問題をとらえていかなければならなくなっている。しかし、日本においては、「廃棄物処理法」の規制を受けるか否かのメルクマールとなる「廃棄物」該当性の判断が硬直的に行われているため、「資源」として活用される道が阻害されているのが現状である。こうした中、「廃棄物」と「資源」の世界をつなげる政策を展開してきたのがEUである。EUでは、「資源効率性(Resource Efficiency :RE)という概念が施策の中で議論されてきた。2015年12月に廃棄物を資源へと転換していく政策の行動計画として、「CE(Circular Economy: CE)パッケージ」が公表された。ここにおいては、廃棄物問題は、様々な分野(水汚染、温暖化等)に影響を及ぼすものであり、廃棄物問題を突き詰めると資源問題に行きつくとの認識をベースに、「廃棄物戦略」と「資源戦略」を結びつけた環境戦略が展開されている。さらに、2008年のEU廃棄物枠組指令の改正において、「廃棄物性の終了(End of Waste)」「副産品(By product)」の定義が導入され、、「廃棄物」が「資源」の世界にはいっていくうえで障壁となる概念を変えていこうというアプローチである。日本の容器包装、家電、自動車のリサイクルについて、資源化を妨げる要因を、国際的な観点から法社会学的に分析を行い、具体的な政策提言につながる研究を行っている。

共同研究・外部機関との連携への期待

  • 海外の資源政策の共同調査
  • プラスチックリサイクルの促進にむけての法社会学的調査
  • 各国のリサイクル・資源政策、日本のリサイクル・資源政策の講演、勉強会の講師

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